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相続の基礎知識30

 1 前々回、前回については、遺言により法定相続人以外に遺産を分配すること、法定相続分とは異なる割合で遺産を相続させ 
  ることができることを説明しました。
   これら以外に遺言でできることはあるでしょうか。

 2 民法には次の10種の行為が遺言によりすることができると規定されています。
①認知(民法781条2項) ②遺贈(同964条)と寄付行為(同41条2項) ③後見人の指定(同839条)と後見監督人の指定
  (同848条) ④相続人の廃除および廃除の取消し(同893条、894条) ⑤相続分の指定また指定の委託(同902条) ⑥遺 
  産分割方法の指定または指定の委託(同908条) ⑦遺産分割の禁止(同908条) ⑧相続人相互の担保責任の指定(同  
  914条) ⑨遺言執行者の指定または指定の委託(同1006条) ⑩遺贈減殺方法の指定(同1034条)となります。
 

 3 このうち②と⑤については前々回と前回にご説明したものとなります。
そのほかのものについて簡潔に説明します。
①については、その文言のとおり認知をすることとなります。
③については、未成年者に対して最後に親権を行う者が未成年後見人や未成年後見監督人を指定することとなります。
⑤については、その文言のとおり推定相続人に対する廃除の意思表示やその取消しになります。
⑥については、法定相続分は動かさないものの、不動産を換価して分割するなど、遺産をどのように分割するかを指定し、ま
  たはその指定を第三者に委託するものとなります。
⑦については、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができるものとなります。
⑧については、民法911条~913条に共同相続人間の担保責任が規定されていますが、遺言によりそれとは異なる意思表
  示をすることができるものとなります。
⑨については、その文言のとおり、遺言執行者の指定やその指定を第三者に委託するものとなります。
⑩については、遺留分減殺請求についての遺贈における減殺の割合はその目的の価額の割合に応じたものであるところ、そ
  れを遺言により指定するものとなります。
 

 4 上記のものが、民法に規定された遺言においてできる事項になります。
もっとも、遺言においてできる事項はこれらに限られず、生命保険の受取人の変更(保険法44条)を行うことも可能です。
 ただし、これについては保険契約者の相続人がその旨を保険者(保険会社)に通知しなければこれをもって保険者(保険会社)に対抗することができませんので、その点は気を付ける必要があります。

以 上

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