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相続の基礎知識27

相続の基礎知識27

1 限定承認の意味
  限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済するという条件付きで相続を承認する意思表示(民法922条)です。
2 どのような場合に限定承認をすれば良いのでしょうか。
  限定承認の制度は、相続財産が債務超過で相続人が相続により多額の債務を負うことになるような場合に相続人を保護するための制度です。このような場合に、民法上認められたもう1つの制度として、相続放棄(22、23参照)という制度があります。
    では、相続財産が債務超過である場合、相続放棄と限定承認どちらの制度を利用するのが良いのでしょうか。原則的には限定承認は後述のとおり手続が複雑ですので、限定承認をするだけのメリットが相続人にある場合以外は相続放棄を選択するのが良いと思われます。具体的な事情によりけりですので、どちらの制度を利用するのが良いのか迷われる場合には専門家にご相談されるのが良いでしょう。
3 では、限定承認をするにはどのような手続が必要となるのでしょうか。
  通常3ヶ月間の熟慮期間(22参照)内に相続財産の目録を作成して、被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所に提出し、限定承認する旨の申述書を提出しなければなりません(民法924条、家審規99条)。
  相続人が複数人いるときは、限定承認は相続人の全員が共同してしなければなりません(民法923条)。
4 限定承認がなされた後の手続はどうなるのでしょうか。
    限定承認がなされると、相続財産から、被相続人の債務及び遺贈に対する弁済がなされることになります。そのため、まずは相続財産の管理と清算が行われることになります。
    限定承認をした相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産の管理を継続しなければならず(民法926条)、共同相続の場合で、相続人が複数人いるときは、家庭裁判所によって相続人の中から相続財産管理人が選任されます(民法936条)
    そして、限定承認をした相続人(共同相続の場合は相続財産管理人)は、限定承認をした後5日以内(共同相続の場合は、相続財産管理人が選任された日から10日以内)に、全ての相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び2ヶ月以内にその請求の申出をすべき旨の公告を行います(民法927条1項、936条3項但書)。知れている債権者及び受遺者には各別に催告をしなければなりません(民法927条3項)。
    公告期間満了後、限定承認をした相続人(共同相続の場合は相続財産管理人)は、相続債権者に債権額の割合に応じて相続財産から弁済し、その後に受遺者に弁済することになります(民法929条、931条)。弁済に際し相続財産の換価を要するときは、原則として競売することになります(民法932条)。
5 相続の限定承認はいったんこれを行ったら、熟慮期間中であっても撤回することは出来ません(民法919条1項)。そのため慎重に決断を行う必要があります。ただし、詐欺や脅迫(民法96条)によって承認した場合は、これを取り消すことが可能です。その場合には、家庭裁判所への申述によって取消をすることになります(民法919条2項、4項)。

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