相続の基礎知識17
1 今回は、分割すると使い物にならないような、現物で分けられない不動産が相続財産である場合、どのような方法で遺産分割を行うか、についてお話していきます。
例えば、相続財産である土地が、細分化されることにより著しく価値が落ちる場合(土地の面積が小さい、その他、日照の関係、公道との関係、土地上の建物の建築状況等の影響等々)、現物で分けることは共同相続人にとって不利益となり、現物では分けられない場合となります。
2 まず、遺産分割の方法には、①現物分割、②換価分割、③代償分割(債務負担の方法による分割)、④共有分割があります。
①現物分割とは、分割の原則的な方法であり、遺産を現物のまま法定相続分に従って分割する方法です。土地を分筆して法定相続割合に従って相続する場合などです。
この方法による場合、厳密に均等な価値で分けることができないなど法定相続人間に不公平な結果となったり、前項で記載の例のような場合共同相続人らにとり著しく不利益になり現実化できないこともあります。
②換価分割とは、遺産を売却してその売却代金を共同相続人間で分ける方法です。
この方法による場合、価値が下落している時点における売却は共同相続人らに不利益であったり、原則譲渡所得税が発生するということもあります。
③代償分割とは、特別の事由があるとき、共同相続人のある者に現物を取得させ、その相続分を超える取得分を他の共同相続人に対し債務として負担させる方法です。
相続財産が細分化されるのを不適当とする場合に、共同相続人らがその相続財産の評価等、代償分割方法に合意し、現物を取得する相続人に支払能力がある場合に認められます。
④共有分割とは、遺産の全部または一部を共有にする方法です。
後日売却をする場合等に、共有者全員の同意が必要とされ、将来の紛争を招くこともあります。
3 以上の方法には、それぞれメリット・デメリットがありますので、ケース に応じて最も適切な方法を選択することが重要です。