相続の基礎知識16
相続財産のなかに現金や預金のほか、家や土地などの不動産が含まれている場合、どのように評価すればよいのでしょうか。
不動産が実際より低く評価されていれば不動産をもらったほうが得ですし、逆に不動産が高く評価されていれば、現金や預金をもらったほうが得になります。
不動産の場合、時価額を基準とすることになりますが、では、どのような方法で時価額を算定すべきかが問題となります。
まず、家などの建物は、固定資産税の課税標準価額を基準とする場合が多くみられます。建物は築年数に応じて価格が低くなり、課税標準価額が時価と一致する場合が多いからです。
つぎに土地ですが、同じ面積でも所在地(商業地区、住宅地区、工業地区など)や地目(宅地、農地)によって時価評価が異なり、かならずしも固定資産税の課税標準価額と一致しない場合があります。特に、商業地区などは価格の変動が激しく、同じ場所でも評価時期によって随分異なる場合もあります。そのため、相続税評価額、路線価方式、公示価額、近隣の取引事例、などの方法で決める場合があります。もちろん、相続人の間でどの評価方法にするか意見が一致していれば問題ありません。ただ、最終的に相続人間で時価額について争いがある場合には、専門家である不動産鑑定士に鑑定をしてもらうことになります。
また、何時を評価時期にするかが問題になることがあります。死亡時(相続開始時)と遺産分割を協議する時期との間にかなりの年数の隔たりがあり、どの時期を基準とするかによって時価がかなり変わる場合があるからです。このような場合、相続人間の公平を考えて遺産分割時で考えるべきとする見解が一般的になりつつあるようです。