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相続の基礎知識10

今回も引き続き、相続財産(遺産)について見ていきましょう。今回は、墓地や位牌等の祭祀財産について説明します。

 1 墓地や位牌等の祭祀財産は相続財産に含まれるのでしょうか。
   相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。
     しかしながら、系譜、祭具、墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します(民法897条1項本文)。  
     したがって、墓地や位牌は相続財産には含まれず、相続の対象とはなりません。

 2 墓地や位牌は誰が承継するのでしょうか。
   上記1の通り、祖先の祭祀を主宰する者(これを「祭祀承継者」といいます。)が承継することとなります。
     それでは祭祀承継者はどのように決まるのでしょうか。
   相続人間での話し合いにおいて決まればそれに従うことになり、話し合いで決まらない場合には次のとおりとなります。
   まず、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継しますので(民法897条1項但書)、被相続人の指定があればその者が祭祀承継者となります。
   被相続人の指定がない場合には、上記1の通り慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するとの規定がありますので、それぞれの地方の慣習に従うこととなります。多くの場合には長男が承継者になると考えられますが、これと異なる慣習がある場合にはそれに従って祭祀承継者が決められます。
   また、被相続人の指定なく、慣習も明らかでない場合には、祭祀承継者は家庭裁判所が定めることとなります(民法897条2項)。 
     この場合、まずは家庭裁判所において調停による話し合いがなされ、それでも決まらない場合には家庭裁判所が審判を出すことになります。

 3 どの財産が祭祀財産に含まれるのでしょうか。
   これには、系譜、祭具、墳墓が含まれます(民法897条1項)。
   系譜とは、家系を明らかにした系図になります。
   祭具とは、神体、仏像、その他礼拝の用に供する物で、祖先祭祀に必要な物となります。具体的には位牌や仏壇、神棚等がこれに該当します。
   墳墓とはその名の通り墓になり、墳墓の敷地(墓地)については、必要な範囲に限り、祭祀財産に含まれると考えられます。

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