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相続の基礎知識7

どのようなものが相続財産として遺産分割の対象となるのでしょうか?
 民法上,「相続人は相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし,被相続人の一身に専属したものは,この限りでない。」(民法896条),「相続人が数人あるときは,相続財産は,その共有に属する。」(民法898条),「各共同相続人は,その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」(民法899条)等の規定が設けられています。
 これらの規定に照らし,どのようなものが相続財産として遺産分割の対象となるのでしょうか?
現金,不動産,車,家財道具など。
 相続財産です。
 相続開始とともに共同相続人らの共有財産となります。
 相続人としては,遺産分割を経て,交付を請求することとなります。
預貯金などの金銭債権
 預貯金のような金銭債権は可分債権です。
 可分債権は,相続開始とともに,法律上当然にその共同相続人らにその法定相続分に応じて分割され,相続人らは,各自権利を承継します。
 従って,預貯金などの金銭債権の相続人らは,遺産分割協議を経ずとも,法律上当然に自己の相続分に応じて分割された債権を承継することになります。
 とすると,預貯金等の金銭債権を遺産分割の対象とする余地はないこととなりそうです。
 しかし,実務上,共同相続人全員が同意すれば,預貯金も遺産分割対象となり得るとされています。預貯金のみを遺産とする遺産分割調停の申立であっても,申立人以外の相続人から明示的に反対の申出がない限り,調停が進められるのが普通です。遺産分割審判は,共同相続人全員が,預貯金を遺産分割の対象とする旨の同意をして可能となります。
 ただし,定額郵便貯金については例外となり,結論としては共同相続人らの合意の有無にかかわらず,遺産分割調停及び審判の対象となり得ることになります。
賃借権
 借家権,借地権などの賃借権は,財産上の権利であり,一身専属性もないことから相続の対象となります。
 そして,一部の相続人のみが取得するためには遺産分割手続が必要です。
 賃借権を相続人が承継する場合,賃貸人の承諾は必要ありません。
 但し,公営住宅の入居者が死亡した場合には,その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継することは出来ません。
社員権(株式)
 財産上の権利であり,一身専属性もないので相続財産です。
 共同相続人らの共有財産となり,相続人としては,遺産分割を経て,名義変更の手続をとることにより株主としての権利を行使することが出来ることとなります。
 遺産分割が済んでいない場合には,株主としての権利を行使すべき者1人を多数決で決めて会社に通知をしなければ株主としての権利行使はできません。
ゴルフ会員権
 会則規定等の定めによります。
 会則規定により相続人による地位の承継を否定している場合には,ゴルフ会員権自体は相続の対象とはなりません。承継を認めている場合には,相続の対象となります。

その他のものについても次回以降説明をしていきます。

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