相続の基礎知識6
昨年末に父親が亡くなり、その対応に追われブログの更新が遅れたことをお詫びいたします。
私自身、現在、相続に伴う各種の手続に直面しています。これまで市民課、年金課、税務課など市役所のなかをあっちこっち回ったり、社会保険事務所、保健所などにも出かけてきました。昨日も、携帯電話会社に行って解約手続をしてきました。人はいろんなところでつながっており、残された者にとりその後の手続きがそれなりに大変であるということを改めて実感した次第です。
さて、本題に移りましょう。
今回は、相続人の欠格事由と廃除について説明します。
法律で相続人と認めれた場合でも、いろんな事情で相続人になれない場合があります。
その1つが欠格事由(民法891条)です。
故意に相続の順番を変えようとしたり、相続の内容を変えようとする場合です。この場合には相続人にはなれません。
具体的には、①被相続人や自分より先順位や同順位の相続人を殺害したり未遂に終わり、刑罰を受けた者や、②詐欺や強迫により被相続人に遺言書を作らせたり、遺言書の内容を変えさせようとした場合、③勝手に遺言書を偽造したり、破棄・隠匿した場合などです。
2つめが廃除の制度(民法892条~895条)です。
これは、被相続人がその意思で相続人にさせないための制度です。
この制度には、2つのやりかたがあります。
1つめは、被相続人が生きているときに裁判所に申立てをして許可を求めるものです。ただし、理由もなくできるのではなく、①虐待を受けた場合、②重大な侮辱を受けた場合、③廃除を求める者に著しい非行がある場合に限られます。
2つめは、遺言で廃除する意思を明示する場合です。被相続人が亡くなった後、遺言執行者が家庭裁判所に請求していくことになります。廃除の理由は1つめと同じです。
実際には、遺言で廃除を求めるケースを見かけることがあります。ただし、証明は廃除を求める側にあり、遺言書に廃除の理由を書き連ねるだけではなく、診断書、目撃者の証言、録音テープやビデオ、借用書や領収書、債務整理や破産したときの書類など裁判所を納得させるだけの証拠が必要であり、廃除が認められないことが多いのが実情です。