相続基礎知識23
前回,相続放棄の手続きについて説明しましたが,だまされて相続放棄をした場合にはどうなってしまうのでしょうか。
相続の放棄は,一旦それをなした場合には,熟慮期間内でも撤回することはできません(民法919条1項)。
しかしながら,民法第1編(総則)及び第4編(親族)の規定による承認・放棄の取り消しは認められています(民法919条2項)。
そのため,だまされて相続放棄をしてしまった場合は,詐欺によって放棄した場合であるとして民法96条により取消しを求めることができます。
その場合の取り消しの方法は,取消の結果が利害関係人に重大な影響を及ぼすので,放棄の取消のあったことを一般に知らせる意味から,相続放棄の場合と同様に家庭裁判所に対して申述しなければならないとされています(民法919条3項)。
なお,相続放棄の取消権は,追認することができるとき(だまされたことを知ったとき。)から6ヶ月間行使しないときは,時効によって消滅します。また,放棄のときから10年経過したときも同様です。