相続の基礎知識1
相続の基礎知識1
相続は何時、何処で始まるのですか。
1 相続は、死亡によって開始すると定められています(民法882条)。
したがって、親不孝な子供が、まだ生きている親に向かって、相続権があるから財産を分けて欲しいと言っても通りません。その子供は、親が死んだら相続権を取得するという期待があるにすぎません。そのため、親は、死ぬまで自分の財産を自由に処分出来ます。
また、長く行方不明になっていた人の死亡があとで判明したときにも、判明したときではなく、死亡した時に遡って相続が開始されます。たとえば、亡くなった人に不動産があり、相続人の誰かが相続したとき、死亡したときから相続したことになり、税金や人に貸している場合の賃料など権利義務も引き継ぎます。
なお、7年間生死が不明の場合には、家庭裁判所に失踪宣告を求めることができます。この場合は、7年の失踪期間が満了した時に死亡したものとみなされます(民法30,31条)。
2 相続は、被相続人(死んだ人)の住所において開始すると定められています(民法883条)。
これによって、相続の紛争が生じた場合に、何処の裁判所に申し立てればよいかを決める手がかりとなるのです。決して、死んだ人の住所で遺産分割の協議や遺産の整理をしなさいと言うことではありません。
住所とは、生活の本拠をいい、言い方を変えれば主に生活が営まれている場所を意味します。通常は、住民票で証明でき、住民票の所在地の家庭裁判所が相続問題の担当(管轄)裁判所になります。