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相続の基礎知識32

今回は自筆証書遺言について説明をしていきます。
1 自筆証書遺言の書き方
    これは民法968条1項にて規定されています。
    民法968条1項によると、自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない、とされています。この「全文」「日付」「氏名」「押印」は1枚もしくは1綴りの紙面の中になされることが予定されています。
2 自筆証書遺言作成上の注意点
 (1) 全文自書
   全文自分で書くことが必要となります。代筆は認められません。ワープロで作成することも出来ません。録音、録画によるものは認められません。
      カーボン紙を用いて複写の方法で記載することは自書の方法として許されないものではありません(最判平5.10.19)。
 (2) 作成日自書
   「平成(西暦)○○年○○月○○日」と自書して下さい。「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書は日付の記載を欠くものとして無効とされた判決があります(最判昭54.5.31)。
   遺言書が複数存在する場合、後の遺言が最終意思となり、前の遺言は後の遺言によってその部分が撤回されたことになります。また、遺言がなされた日付で遺言者の意思能力の有無が判断されることもあり、日付の記載は極めて重要な要件です。
 (3) 氏名の自書
   氏名の自書が必要です。つまり署名をして下さい。できるだけ本名の氏と名で署名することが安全です。
   しかし、必ずしも戸籍上の本名である必要はなく、氏名を併記する必要もありません。通称、雅号、芸名などでも良いです。遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度の表示があれば足りるのです。ただし、この場合、同一性を確認出来るようにするため住所を記載すべきです。
 (4) 押印
   押印は、実印である必要はなく、認印でも良いです。名下に押印をして下さい。
      指印でも押印として有効との判例もありますが(最判平1.2.16)、反対意見もあるので避けた方が良いでしょう。
      遺言書本文を入れた封筒の封じ目にされた押印をもって自筆証書遺言の押印として有効とした判例もあります(最判平6.6.24)。
      手の震えを押さえるための添え手による押印も有効です。
 (5) 自筆証書遺言の加除その他の変更
      民法968条2項より、遺言者が①変更した場所を指定し、②これを変更した旨を付記し、③特にこれに署名し、④かつ、変更した場所に印を押す、という4つの要件を満たす必要があります。
   変更の仕方が厳格に定められてるため、変更があれば全文書き直した方が無難と言えます。
      具体的には、加入の場合は{ の印を付けて加入文言を記載し、削除・訂正の場合は原文が判読できるように二本線で消して、正しい文言を記載します。変更した箇所に、遺言書にて押印した印鑑で押印する。変更した部分の欄外又は末尾に「本行○字加入○字削除」というように付記する、などが変更方法の一例です。
 (6) 検認手続
   相続の基礎知識31にも記載されているとおり、自筆証書遺言書の保管者や、これを発見した人は、相続の開始を知った後遅滞なくこれを家庭裁判所に届け出て検認手続を受けなければなりません(民法1004条1項)。
   封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会がなければ開封することは出来ません。(民法1004条3項)。

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