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相続の基礎知識4

胎児には相続権があるのでしょうか。

 人は生まれて初めて権利能力(権利を有し義務を負担しうる能力)を取得するというのが法律の基本的な考え方です(民法1条の3)。この考え方からすれば、生まれる前の胎児には相続権が認められないようにも思われます。
 しかし、民法886条1項は、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」として、上記の基本的な考えの例外を規定しています。
 ここで、「既に生まれたものとみなす」というのは、相続開始時(被相続人の死亡時)に胎児であった子が相続開始後に生きて生まれたときには、相続開始時に遡って権利能力(権利を有し義務を負担しうる能力)を認める(=相続人となる)ということです(判例の考え)。
 もっとも、胎児が生きて生まれなかった場合(死産、流産等)には、相続開始時に胎児であった者に権利能力は認められませんので、胎児であった子が相続人となることはありません(民法886条2項)。
 このように、胎児は、相続人となる可能性もならない可能性もあるため、遺産分割は胎児の誕生を待って行うべきです(遺産分割は相続人「全員」で行う必要があるため、仮に、胎児を除いて遺産分割をしてしまった後に胎児が生きて生まれれば、再度遺産分割をやり直す必要が生じます。)。
 なお、遺産分割協議は相続人全員の利益が相互に反するものと考えられているため、相続開始時に胎児であった子だけでなく、その子の法定代理人(例えば、子の母)も相続人となる場合には、当該法定代理人が子を代理して遺産分割協議に参加することは許されません(利益相反行為)。このような場合は、家庭裁判所で、子のための「特別代理人」を選任してもらう必要があります(民法826条1項)ので注意が必要です。

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