相続の基礎知識34
今回は、秘密証書遺言の作成方法とその注意点について説明をします。秘密証書遺言の方式については、民法970条に規定があります。
1 遺言を作成し、作成した遺言に署名・押印する
遺言書は、自筆でなくても構いません(代筆してもらっても、パソコンで作成しても有効です。)。ただし、自筆証書遺言としての要件を欠く場合であっても、自筆証書遺言の要件を満たしている場合には自筆証書遺言としての効力が認められることになりますので(民法971条)、自筆で書いておいた方が良いでしょう(自筆証書遺言の書き方については、「相続の基礎知識32」を見て下さい。)。
署名は必ず自分で書く必要があります。
押印は実印でなくても構いません。
2 遺言書に封をし、遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印する
必ず遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印する必要があります(違う印鑑で封印すると、秘密証書遺言としては無効となってしまいます。)。
3 公証人一人、証人二人以上の前に遺言書(封書)を提示して、自分の遺言書であること、自分の住所・氏名を述べる
公正証書遺言(「相続の基礎知識33」参照)と同じく、①未成年者、②推定相続人、受遺者、推定相続人や受遺者の配偶者及びその直系血族、③公証人の配偶者、四親等以内の親族、書記、使用人は、証人になることができません(民法974条)。
4 公証人が、3の手続をした日時・遺言者が述べたことを封書に記載し、遺言者、証人とともに署名・押印する
5 検認手続を受ける
相続が開始した(遺言者が死亡した)ら、秘密証書遺言の保管者や、秘密証書遺言を発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に届け出て検認手続を受ける必要があります。家庭裁判所において相続人またはその代理人が立ち会わなければ、秘密証書遺言を開封することはできません(民法1004条)。